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[809] 今日も銀ぎん!/2008.05.27(火) 09:11

 『』 2008年5月27日(火)

穏やかな朝です。

ソウルのホテルの前は大きな道で、交通量も多かったため、
窓を開けると車の走る音ばかりが耳に入ってきましたが、
いま僕がいる、武庫之荘の部屋の窓からは、
近くの幼稚園から子供たちのはしゃぐ声が聞こえています。

3月1日から約3ヶ月続いた、「焼肉ドラゴン」との生活。
一昨日で終わりました。
2008年の春は、「焼肉ドラゴン」一色だったわけです。

充実感しかありません。
正直、稽古の時は「やっていけるかなぁ」と不安になりました。
自分に芝居ができるのか。
自分が作品の足を引っ張ってないか。
でも、知らない間に、そんな余計なことは考えなくなりました。

開き直りましてね。
「こんな俺をキャスティングしたスタッフが悪いんや!」と。
僕の人生、大体、最後は開き直ります^^

結果は、観たお客様が判断されることですが、
自分としては、「やることはやった」と胸を張れます。

第五場で店主・龍吉が、僕が演じる長谷川に向かって、
自分の半生を語るシーンがあります。

「わしは戦後、コヒャン、故郷帰るつもりやったです。(中略)
働いた、働いた、働いて、働いて、気づいたらこの歳や。
わしはもう、故郷帰るのあきらめた。故郷は近い。
けど、遠い。ものすごぉ遠い」

このセリフを長谷川は、ただ黙って聞いているのです。

僕はこの時、必ず、88歳になる祖母のことを想っていました。
なぜなら、龍吉の言葉は在日一世の言葉で、
祖母も一世なのです。

きっと祖母も、心のどこかでこのようなことを感じていたのかなと。
祖母がいてくれたから、今の自分がいる。